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- > 特集第4回「これから始める資産運用としての社債」

リーマンショックを契機とした信用収縮により、公募社債の購入を控える動きが強まる中、それを補うかたちで、個人投資家や一般企業向けの社債「個人向け社債」の購買が広がっている。基本的に株式やFXより安全性が高く、定期預金よりも利回りの良い社債は、個人投資家のみならず、一般の事業会社における資産運用の手段の1つとしても有効であると考えられる。今回、社団法人日本証券アナリスト協会検定会員の岩木宏道氏に、社債による法人の資産運用の可能性と、その注意点について伺った。
- Q:「法人向け社債」と「個人向け社債」の違いは何ですか?
A:証券会社が対象とする投資家には2種類あり、機関投資家とそれ以外の投資家になります。機関投資家を対象として発行する社債を「機関投資家向け社債」といい、それ以外の特に個人投資家を対象として発行する社債を「個人向け社債」といいます。法人向け社債の購入単位は1億円以上で、個人向けでは10万円、100万円などからの購入単位の商品があります。
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- 一般の事業会社が社債を運用する場合には、投資家を限定しない一般の社債を購入することになります(SBI社債など)。一部の学校法人や財団法人などは機関投資家であり、その場合は機関投資家向け社債を購入します。社債市場において、事業会社による投資の割合はまだ大きくありませんが、ここ数年の間に少しずつ裾野が広がってきたといえます。
- Q:「法人向け社債」と「個人向け社債」の市場動向について教えてください。
- A:社債市場の動向について、2009年度の発行額全体は、10兆円を超える規模となりました。また、ここ2年くらいで個人向け社債の発行額が急激に伸びています。金融危機によって景気の落ち込んだ2008年では、法人向け社債の購入が控えられる一方で、個人向け社債がそれを補うかたちで広がったことをきっかけとして認知度が高まってきました。2008年度全体における個人向け社債の発行額は、2兆円を超えて過去最高額となりました。2009年度は1.5兆円程度と、前年度より低くはなりましたが、個人投資家の主要な資産運用の1つとしての認識されるようになったといえます。それに伴って、個人向け社債は公募社債の一角を占めるような存在となり、個人向けに発行される銘柄も増えてきました。
- Q:社債の運用に関係する税制について教えてください。
- A:まず、社債を法人向けと個人向けに分けて発行するのには、税法上の理由があります。通常、社債の利息に対する課税方式は源泉分離課税になりますが、機関投資家として認定を受けている投資家には、特例として源泉分離課税20%が非課税となります。そのため、その特例が適応される商品を法人向け社債、適応されない商品を個人向け社債として、それぞれ分けて扱うことによって手続きを効率化させているのです。実際、売買される様々な社債について、全ての投資家から個別に利息にかかる税を徴収するのは物理的に困難であるため、社債を発行している会社が立て替えて納付する仕組みとなっていると考えられます。
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- また、社債の売却益につきましては、個人の投資家のみが原則として非課税となります。機関投資家と一般の事業会社では、売却益は課税対象となりますので注意してください。つまり、一般の事業会社が社債を運用する場合、利息は源泉分離課税として徴収され、売却益は所得として申告し、最終的に法人税を支払うということになります。ただ、定期預金の利息と同様に、社債の利息に対しても源泉分離課税により課税されますので、後に法人税を納税する際は、国税還付金制度を確認し、二重課税とならないよう注意してください。
- Q:社債はどのような金融商品ですか?
- A:社債は毎年の利息があらかじめ確定しており、発行元の会社が倒産しない限りは、一定の運用期間を経て利息とともに元本が償還されます。しかし、株取引の様に、会社の成長に応じて利益が得られるものではないので、高利回りを期待する性質のものではありません。社債は会社の安定性を見込んで購入するものであり、「企業が倒産しない可能性」に投資するものだと言えます。価格変動が大きな株式などと比べてリスクが低く、法人が投資するのにも好ましい運用方法と考えられます。
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- また、社債の運用期間については、3年~10年前後と他の金融商品と比べて長期的な運用にはなりますが、決算の関係から、1年程度の期間で運用したいと考える企業も少なくありません。しかし、新規に発行される社債では償還期限が1年のものはほとんどありません。もし、1年前後での運用を考える場合は、既に数年前に発行され、残り1年で満期をむかえるという社債は多く出回っているため、そのように残存期間が1年の社債を指定して、証券会社などで購入することも可能です。
- Q:購入を考えている社債の安全性を判断するには、何を確認すれば良いですか?
- A:社債にはその企業の信用リスクなど借金返済力を示す格付けがあり、まずはその格付けを確認することが基本です。投資家にとって一般的にダブルB以下の格付けは投機的とみなされ、それ以上の格付けの社債を投資の対象として考えます。個人の投資家では、チャレンジする意味も含めてトリプルBを基準に考えることもありますが、しかし、法人が運用する場合には、少なくともシングルA以上の商品を運用対象とするべきだと思います。
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- ただ、安全性を取ると利回りの面が気になりますが、シングルAでも比較的よい金利のものがありますので、一般の事業会社が購入する社債としては、それ以上のリスクのものを選ぶ必要はないでしょう。
- その他の判断基準として、企業の財務データを確認することも有効です。購入を考えている企業の自己資本比率が最低でも3割ある必要があります。また、新聞などのマスメディアの情報にも積極的に目を向け、株式の動向の変化も参考にするとよいでしょう。社債の場合には、基本的には事業に変化がなく収益などが安定して企業の社債が良いとされています。
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- Q:他の金融商品と比べた場合、社債についての優位性、または運用の際の留意点について教えてください。
- A:社債の優位性は、株取引などよりも安全性が高いことです。他の金融商品と比べた場合、一般的に定期預金に次いで安全だと考えてよいと思います。例外はありますが、格付けがシングルA以上であれば、定期預金に準ずる安全性があり、かつ収益性が高い金融商品といえます。また、基本的に社債は定期預金と国債よりも高い利回りを見込めます。発行した時点の社債の利回りは、同じ年限の国債や定期預金と比べて高くなります
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- 留意しなければならない点は、社債は投資先企業の経営状態に左右されるということです。銀行預金であれば預金に対して限度額までの補償がありますが、それに対して、社債は債権であるため、投資先の倒産時にはゼロにはならないにしても、状況によっては元本が全て戻ってこないことがあり得ます。ただし、それでも同じ会社の社債と株式とを比べたときには、法的に社債の方が優先的な扱いを受けるため、株式よりリスクは低いといえます。
- 社債は安定的で、買い手、発行者の双方にメリットがある金融商品
- 定期預金で運用を行うよりは、もう少し積極的な運用を考えたいが、株式などよりも安定的に投資を行いたい場合には社債がお勧めです。投資家にとって社債は有効な運用手段であるとともに、発行する企業側にとっても、銀行融資と違って無担保なため、毎月の返済を気にせずに再投資も可能であり、資金繰りの面で大きなメリットがあります。
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- また、社債は無数の投資家を相手にすることができますので、銀行の他に資金調達ルートを確保することが可能となります。このように、社債は、発行する側、購入する側、双方にメリットがある金融商品だと言えます。まず、社債がどういう金融商品であるかを知るために、最少のロットから購入を検討してみると良いと思います。また、新会社法が施行されてから、全ての法人が社債を発行することができるようになりましたので、社債を理解するうえでも、一度発行する側になってみるのもよいでしょう。