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- > 特集第3回「知っておきたい資産運用と税制」

資産運用には不動産、証券投資、預金、外国為替、商品先物、保険など様々な手段があるが、それぞれにおける税金に関する知識が不足していては効率的に資産運用することはできない。今回は特に証券投資について、税理士法人みらいコンサルティングの税理士小幡修大氏にその税制及び注意点について伺った。
- Q:資産運用における個人と法人の税制上の違いについて教えてください。
A: 個人の場合、各種の所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。しかし、一定の所得については、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算します。これを分離課税といいます。分離課税は源泉分離課税と申告分離課税に分類されます。源泉分離課税とは所得を支払う者が支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するものをいいます。例えば、皆さんが利用している普通預金利息については、一律20%(所得税15%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了します。
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- 平成21年1月1日から、上場株式などの譲渡損失との損益通算の対象に配当などが加わりました。そのことにより平成21年1月1日以降に支払いを受ける上場株式などの配当などに係る確定申告については、総合課税の他に申告分離課税を選択することができるようになりました。配当所得と上場株式などの譲渡損失との損益通算の対象とする場合には、申告分離課税を選択しなければなりません。平成22年1月からは、特定口座の「源泉徴収あり口座」にて上場株式などの配当などを受入れることで、特定口座内にて譲渡損失との損益通算が自動的に行われます。
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- 一方、法人税の場合には個人のような分離課税という制度がありませんので、源泉徴収されたとしても、それは単に法人税の前払いになりますので、最終的には事業年度における全ての益金から損金を差し引いた課税所得から法人税などを算出し、納税することになります。個人のように、一律の税率で源泉徴収されて課税関係が完了するような制度は用意されていません。
- Q:法人の資産運用における税制上の注意点はありますか?
- A:法人の資産運用において、見落としがちであると思われるのが消費税です。事業者が消費税を計算する過程で「課税売上割合」を算出します。課税売上割合とは、事業者がその課税期間中に国内において行った資産の譲渡などの対価の額の合計額のうち、課税資産の譲渡などの対価の額の合計額の占める割合のことをいいます。分かりやすく算式で表すと以下のようになります。
- 課税売上割合が95%以上であるか95%未満であるかによって、課税売上に係る消費税額から控除する仕入税額控除の計算方法は大きく変わってきます。課税売上割合が95%以上である場合は、課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れに係る消費税額の全額を控除することができます。しかし、95%未満である場合には、控除額は課税仕入れに係る消費税額の全額ではなくなってしまいます。そのときの仕入税額控除額の計算方法は、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」のどちらか有利な方式を選択して計算することになりますが、いずれの場合においても課税売上割合が95%以上の場合よりも消費税の負担割合は高くなってしまいます。
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- 例えば、有価証券の譲渡価額の5%は非課税売上(上記算式の分母)となるため、そのような非課税売上の対象となる譲渡などを多く行えば、それだけ課税売上割合は低くなることになり、課税売上割合が95%を下回る可能性が出てきますので注意する必要があります。
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- 本業とは別に証券投資を行っている場合は、課税売上割合が低くなることで不利になることがあります。決算を迎えて蓋を開けてみたら課税売上割合が95%を割っていたとならないように、月次決算で課税売上割合をチェックするなど事前に注意しておくことが重要です。
- Q:法人の資産運用における税制上のポイントについて教えてください。
- A:会社が投資先から配当を受けたときは、投資先が上場株式などの場合、受け取った時点で所得税7%が源泉徴収されています。所得税法の規定により源泉徴収された所得税は、法人税の申告に当たって控除することができることになっています。これを所得税額控除といいます。
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- 確定申告書に記載された金額を限度として控除することになりますので、受取配当金が多額になる法人は桁数など間違えないように注意が必要です。計算方法には原則法と簡便法があり、有利な方を選択しましょう。
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- ほかにも受取配当などの益金不算入制度があります。受取配当金は会計上収益になりますが、法人税法上は二重課税を排除する目的から益金不算入制度が設けられており、会社にとって有利な制度となるため、積極的に活用しましょう。株式の受取配当金だけでなく、例えば証券投資信託の収益分配金についても、その内容により、その2分の1または4分の1が益金不算入の対象となります。
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- また、平成22年度の税制改正により、100%グループ内の内国法人からの受取配当金については、全額が益金不算入とすることができるようになりました。これによってグループ会社間での配当による資金移動は無税で行えるようになり、機動的なグループ全体での資金管理が可能になります。
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- 知らないところで余計な法人税などを支払うことにならないように、以上に挙げたような税制上のポイントに注意することが大切です。
- 運用収益だけでなく、消費税などへも目を向けることが重要
- 法人において証券投資をする場合には、法人税ばかりに気をとられがちですが、消費税についてもよく検討しておく必要があります。決算を迎えて申告書を作成するときになって課税売上割合という思わぬ落とし穴に気づいたということがないように注意してください。また、受取配当などの益金不算入や所得税額控除などの申告書への記載漏れや記載間違えをしないことが重要です。もし税務上の取り扱いに不安がある場合には、税理士など専門家に相談しましょう。
【お詫び】
掲載画像に一部誤りがありました。お詫び申し上げますとともに、訂正させていただきます
(2010年4月21日 17:26)。